アジア歴史文化研究所
本研究所は昭和56年(1981)に創設され、今年で38年目を迎えます。その間、国内での研究はもちろん、国内外から研究者を招いたり海外に研究者を派遣したりして、多くの実績をあげてきました。そもそも、わが国はアジア大陸の東端に位置し、その民族・文化ともども中国・朝鮮・韓国・琉球・および東南アジア諸地域と密接な交流があり、その中で成立し発展してきたものです。
別府大学では、これまでも、アジア諸地域にかかわる諸課題についてさまざまな分野で研究活動がすすめられてきました。昭和55年(1980)2月、それまで長期にわたって交流のあった中国科学院古脊椎動物古人類研究所副所長(当時)呉汝康教授を招いて、中国古人類についての特別講義を受け、同年7月には組織的な学術視察団を中国に派遣して、それぞれの専門研究者との交流を深めることができました。この時、中国に派遣された研究者は人類学・考古学を中心とする人類史と仏教美術を専攻する美術史の分野でした。このような経過を受けて、昭和56年4月に本研究所が正式に発足したのです。
本研究所は、アジア諸地域の人文・社会・自然の各分野にわたる問題について調査研究をいっそう発展させるとともに、海外の関連研究機関との交流を深め、あわせて別府大学の研究と教育の発展に寄与するということを目的としております。
本研究所のこれまでの研究・活動内容については、『別府大学アジア歴史文化研究所報』に掲載されています。『別府大学アジア歴史文化研究所報』は創刊号(1983年)以後、第19号まで継続して刊行されており、これらは別府大学機関リポジトリによりインターネット公開されています。
研究活動
現在、歴史・考古研究部門と美術史研究部門がおかれています。
歴史部門
- インドネシアのイスラム改革団体ムハマディヤーの地方支部研究
- 中国宋代史研究
①宋代皇帝独裁体制の研究
②中国前近代における民問信仰の研究
考古部門
- 東北アジアの先史時代の研究
美術史部門
- 日中仏教美術史の比較研究(石窟・石仏を中心として)
企画展の開催
本学附属博物館との共催による企画展(隔年ごと)を博物館本館5階第2展示室にてこれまで5回開催しました。以下に列記すると第1回の企画展は、「お正月を飾る~東アジアの正月文化~」で2001年1月10日~4月27日まで。第2回は「いれる・たてる・あじわう~東アジアのお茶の歴史と文化~」を2003年1月10日~4月28日まで。第3回は「つかむ・すくう・たべる ―東アジアの《箸と匙》の歴史と文化―」を2004年1月18日~2005年4月25日まで。
2007年は第4回「さす・ふせぐ・かぶる―東アジアのかさ〈傘・蓋・笠〉の歴史と文化」のテーマで2007年1月22日~4月25日まで実施しました。なお、2007年3月12日には本学附属幼稚園の年長児を招待してワークショップ「かさにおえかき」、また4月25日には、滋賀大学教授・谷田博幸氏を招聘して記念講演会「傘を持つ人、持たぬ人―絵に読む英国ヴィクトリア朝の傘事情―」を実施しました。企画展中は関心の高い観客の方々が遠方からも訪れて、また、学内では留学生をはじめ日本人学生の授業にも活用されて、きわめて意義深い企画展となりました。
2008年は第5回企画展「東アジアの子どものおもちゃまわす・ふる・とばす」と題して5月12日から7月25日まで実施しました。身近なおもちゃに光をあてて、日本、中国、韓国のおもちゃを展示し、各国の遊びの特徴および歴史等を理解できるようにしました。その際に本研究所所員及び協力依頼した教員にはおもちゃに関するエッセイや歴史、解説を寄稿してもらい冊子を作成しました。また同年7月25日には、展覧会関連のワークショプを計画し、大学付属幼稚園生とその父母を中心に参加を募り、短大の伊藤先生の指導のもとに水鉄砲を作り、出来上がった水鉄砲を実際に使って感触を楽しみました。さらにマンガ・アニメーションの田代先生と白石先生には幼稚園から大学までの過程を別府の名勝を通過しつつ上がる、という別府大学オリジナルの大判双六を作成していただき、それで学生ホールにおいて園児たちに遊んでもらいました。
2009年1月7日には欧日の交流が盛んになっている現状を顧みて、EUに加盟されたスロベニアでの日本文化の受容等について「中欧の国スロベニアと日本の文化交流」と題して、現在スロベニアで日本語および英語の通訳・翻訳家として活躍されるロワン・バルバラ博士に講演をお願いしました。
所在地・連絡先
Tel. 0977-27-6116(歴史文化総合研究センター)